THINKING

ベースとなる考え方

5つの資産

5つの資産

企業価値は、5つの資産から成り立っていると考えます。
5つの資産とは、
財務諸表に載る「物的資産」・「金融資産」
財務諸表に載らない「組織資産」・「人的資産」・「顧客資産」です。
5つの資産は、高まる要因(プラスの資産)と下がる要因(マイナスの資産:負債)を両方含んでいます。
それらの要因を相殺しても高まる要因が大きければ、その資産が大きくなっていると考えられます。
各々の資産の全体である企業価値も、高める要因と下がる要因の両方を含んでいます。
全体として高まる要因が大きければ、企業価値は高まります。

財務諸表に載る資産と限界
財務諸表に載る資産と限界

財務諸表に載る資産には、たとえば、現金・預金、売掛金、在庫、土地、建物などがあります。
これらはすべて「会計上の資産」です。会計上の資産でないものは、財務諸表には載りません。
この点に気づきフレームワークにしたのが、会計事務所であるアーサーアンダーセンでした。
このようなプロフェッショナルが、財務諸表の限界を理解していたからこそ、
財務諸表には載らない資産も企業価値を構成する大切な資産だと指摘できたのです。
たとえば、パートや派遣社員の方を含めた従業員を取り上げてみましょう。
企業にとって経営者と一緒に働いてくれる従業員がいなければ、企業価値は創造されません。
そういう意味で、従業員は企業価値上の大切な資産です。
ところが、財務諸表上では、従業員は資産ではなく費用として取り扱われます。
従業員へ払う給与が、損益計算書上に費用として計上されるだけです。
従業員の価値が従業員の給与に反映されるとすると、財務諸表上は資産が増えるのではなく、
費用が増え資産が減ることになってしまいます。
このように会計上では資産にならないが、
企業価値を考える上で不可欠な項目が財務諸表に載らない資産です。

財務諸表に載らない資産 「組織資産」
財務諸表に載らない資産 「組織資産」

組織資産とは、企業で共有されている文化や、
文化から生み出される強みや機会を捉えた戦略などを含む、組織全体としての力をさします。
各々の企業には、各々の企業らしさや強さがあります。
企業らしさや強さにさらに磨きをかければ、組織資産は高まります。
反対に、企業らしさや強さが失われていくと、組織資産は小さくなります。
組織資産は渦巻きで言うと、一番深い部分になります。渦巻きの力の源泉です。
組織資産のキーワードは、人が情熱を傾けているときに感じる「わくわく」です。

財務諸表に載らない資産 「人的資産」
財務諸表に載らない資産 「人的資産」

人的資産とは、企業の従業員がどれだけ活き活きと働き
プロフェッショナルとして成長しているか、という視点です。
働いている従業員が増えていき、各人が嬉々として働き、
様々な経験を通じて成長していけば人的資産は大きくなります。
逆に、従業員がやる気をなくし、成長が止まってしまうと人的資産は小さくなります。
人的資産のキーワードは、従業員が活き活きと働いているか?ということで「いきいき」です。

財務諸表に載らない資産 「顧客資産」
財務諸表に載らない資産 「顧客資産」

顧客資産とは、企業が生み出す製品・サービスを購入する顧客が製品・サービスを
どれだけ支持しているか、という視点です。
顧客が製品・サービスを支持し、製品・サービスを購入する機会が増えていけば
顧客資産は大きくなります。
逆に、顧客が製品・サービスを支持しなくなれば顧客資産は小さくなります。
顧客資産のキーワードは、顧客が製品・サービスを支持している笑顔があるか?
ということで「にこにこ」です。

バリュートライアングル

バリュートライアングル

企業価値は短期、中期、長期の3つの価値から構成されていると考えると、
3層構造として表わすことができます。
3つを私たちが意識しやすいことから並べて行くと、どのようになるでしょうか?
これを時間軸とともに並べたものを「バリュートライアングル」と呼びます。
バリュートライアングルとの表層は、より意識しやすいことです。
それが深くなれば深くなるほど意識し続け、実践し続けることは難しくなります。
時間軸で考えると、表層は時間が短いことになります。
深くなればそれだけ時間軸は長くなります。
このバリュートライアングルを使って「価値創造のプロセス」を説明することが可能です。

情熱から文化の形成まで
情熱から文化の形成まで

「価値創造のプロセス」は、情熱やビジョンから始まります。
何かに好奇心を感じる、あるいは将来何かを実現したい、
このような人間の心の奥底から沸きあがってくるのが情熱やビジョンです。
情熱やビジョンは、何らかの価値観・信念とともに行動に移されます。
このような行動が、毎日・コツコツ実践されていくと週間・行動基準が形成されます。
情熱、ビジョン、価値観・信念、週間・行動基準が経営者と従業員で共有されたもの
すべてが文化です。

文化の形成から中期経営計画まで
文化の形成から中期経営計画まで

文化から、企業独自の「企業らしさ」が生まれてきます。
そして、企業独自の強みや弱みが明らかになってきます。
さらには、企業が直面して言える製品・サービス市場のマーケットの方向性から
機会と脅威が見えてきます。
つまり、企業文化を通じてSWOT分析が可能となります。
SWOT分析を通じて、企業の強みを最大に活かし、
機会が最大になる分野に方向性を定めるのが戦略(全体の戦略)です。
この部分までは、経営者と従業員の全体で共有されるべき部分です。
個別戦略になると、5つの資産の各責任者が企業の文化と全体の戦略をもとに、
自分の責任領域を担当します。
文化、戦略をベースに、それと一貫性のある個別戦略を立て実行します。
同時に、戦略と個別戦略を具現化した中期経営計画を立てます。

年度の成果から日常の行動まで
年度の成果から日常の行動まで

さらには、年度の成果を5つの資産の各々に定めます。
そのような成果を達成するために、企業のルールを守りながら、
意思決定をし、日常の行動を行なっているのです。
日常の行動の結果として、売上や利益やキャッシュフローが上がります。
この場合の日常の行動は、情熱からの一貫性があり、プロセスとして考えることができます。

このような流れで、「長期的な価値」から「短期的な価値」へ
価値創造のプロセスが循環として行なわれていきます。
一連の流れがスムーズに加速され、強くなっていくことが、
企業価値が創造されていくことです。